自分語り

僕という人間の特徴は、まるで赤ん坊の首がすわってないかの様な精神状態が起因している。ぐらんぐらん揺れている。昨日確信を得た事でも、翌日にはあっさり否定できる。普通はそんな状態ではまともに生きていけない。では何故僕が生きていけるか(まともでは無いけど、特に生きてる事に不自由を感じてはいない)と言うと、僕がものすごく頑固だから。
イメージは誰にも踏み込めない不可侵の部分が核にあって、その上の表層的な部分(全体のほとんどの部分を占める)がものすごい流動しやすくなっている、それが僕だ。
そのアイデンティティに僕は誇りを持ってたんだけど、最近というか今これ書きながら、そのシステムじゃやっていけんなあ、と思い始めている。
どうすれば良いか、という案は二つあって、一つは粘性を増す。流動するスピードを遅くして、核となる部分や全体への負荷を減らす。もう一つは、核の部分の範囲を小さくして、つまりある程度あきらめて、より強度を増す。
核の縮小案は実はすでに4年ほど前に実践済みで、その時はそれで良かったんだけど、もはや最小限になってしまった核をこれ以上縮小させると、僕はそのほとんどが流動的な、超いいかげんな刹那的人間になってしまうので、却下。
となると残るは、僕の特徴でもある流動的な精神構造を捨てて、粘性の精神構造へと変わらなければならない。この変化は同時に僕の核への影響に直結した、全体のシステム系の変化なので、僕の頑固さが災いしてなかなか変われないでいる。
本当はもう何年も前から気付いてた事なのに、ずるずるとこの年までやってきた。その原因は、流動性の精神構造のままもっと色々な事を体験したい、という好奇心的欲求があったと思う。例えばSEXや恋愛、仕事や友人、僕は何一つ満足に経験していない、それなのにこのまま流動する精神を捨ててしまって良いものか、という悋惜がある。
おそらく、僕のその流動のスピードがとても速かったんだと思う。誰もついて行けないぐらいのスピードで僕の中はぐるぐる回ってたから。
僕は自分と同じような人間を探してた、自分のスピードについてこれるような、でもそんな人は居なかった、という事だろうか。
それとも、僕は自分の中の事で手一杯だったのかもしれない、自分の中のぐるぐるの勢いに核が潰れてしまわないように、その事ばかりに気をつけて周りを見ようとしていなかったのかもしれない。つまり自分自身が、そのスピードについていけなかった、という事。
そして僕は色々な経験すべき事を横目で通りすぎながら逃してきた。


「何かを決断すると、同時に何かを諦める」「何かを得ると、その代わりに何かを捨てなければならない」という言葉をよく聞く、本当だと思う。じゃあ僕は、何も決断しないし何も得ようとしない、と思って実際にそうした、その結果が今の僕だ。
しかし、それも一つの決断にすぎない。代償として僕が失ったのは「経験」や「何かをやりとげる力」
それでも普通に生きて生活できてるんだから、僕は勘違いするし訳分かんねえ。運が良かった、いずれ破綻する運命だった、とは思う。
少なくとも僕には夢がある、それを実現する為にはどう考えても今のままでいられない、もしかしたら夢を諦めれば、今のまま流動的に何も決断しないまま生きていけるのかもしれない、でも夢を諦めるぐらいなら死んだ方がマシだという揺るぎ無い決意がある。だから僕は変わらなければならない。


僕は今これを書きながら、僕自身を説得している。僕の中の誰かが言う、
「もうそろそろ潮時だ、もう充分自分の事が分かったはずだ」
「自分の事が分かったからって、それがどうした?」
「自分の内世界でやるべき事はやり尽くしただろ、考えれるだけ考えたし、その結果得た物は大きい」
「そんなもんクソだ」
「無駄にするな」
「何もいらない」
「今の俺は人生の中で一番冴えてる、昔の自分がバカに見えるし、年を重ねるごとに頭が良くなっている。今がピークかもしれない、来年の今頃も同じ事を言ってるかも」
「僕はとても思慮深い」
「そんなもんクソだ」
「そんな事はどうでもいい、俺はとにかくSEXがしたい」
「いっそ死んだほうがいいんじゃ……ウソウソw」
「家に帰りたい」
「再来年も同じ事を言ってるかも」
「大事な事とそうでない事を分けろ」
「そもそもその考えがおかしい」
「今の自分を捨てたらバカになる」
「バカにならない」
「自由に思考する事こそが大事」
「そんなもんクソだ」
「何かを失うのは怖い」
「やっぱいっそ死んだほうがいいんじゃ……ウソウソw」
「感性が鈍るのが嫌」
「たいした感性だなオイ」
「コツコツやってける人間になりたい」
「しんどいで〜」
「しんどくてもやらなきゃならない」
「しんどくない方法を探そう」
「そんなの無ぇよ」
「今の自分を捨てて変われば良いんじゃ?」
「保証が無い」
「確信はある」
「しんどいで〜」
「保証が無い」
「確信はある」
「今の自分を捨てて」
「しんどいで〜」
「確信はある」


「大人になるってそういう事かもしれない」