近年エヴァを見るたび思うミサトさんの事

いや、今回というか、前からもう何度もエヴァ見返してるけど、近年特にミサトさんについて考えてしまう。TV放送リアルタイム世代の僕らは、ちょうど今ミサトさんと同じ年齢になっているので、シンジ君についてはある程度答えは出てたりするんだけど、ミサトさんという存在については未だ答えを出せずにいる。
そこで一つ語られていないこの手の言説として、葛城ミサトの作戦参謀としての優秀さという所に、誰も何も疑問を持っていないという事が、僕はいささか不満であり、今回の新劇場版でも全くそこのところが出てくる気配が無いので、これは最後まで言及される事は無いんじゃないかと思う。
ミサトさんの女性性や人間性については微に入り細にわたり、描かれ、また語られてきたわけだけど、彼女の参謀としてのキャリアについては、あまり詳しく描かれてない。
はっきりいって女性で二十代の参謀というのは、格闘美少女ぐらいありえない存在だと思われ、代々格闘家の娘でお爺さんが仙人で小さい頃から修行を、という設定無しにはリアリティが無い、とそのような存在であるといえる。にもかかわらず何のエクスキューズも無いとは、そして誰も疑問に思わない、TV版のあのセックスの後っぽいシーンでミサトさんの全て知ったような気になってしまっている。僕もそうだった。
がしかし、今になって、ミサトさんについて考えると、なんというありえないキャラだろうと。キャラとしてというよりも女性としてありえない、まるで童貞が作り出した女性像のようなありえなさ。穿った見方をすれば、女性を憎んでいるような避けているようなそんな作り手の持つ女性像が投影されたのがミサトさんではないかと思えてくる。

普通に生きてればだいたい世の中にどんな人がいてどんな仕事に向いてるかって知っていくけど、まず葛城ミサトのような女性がいたとして、ああいう女性が作戦参謀として才能があるわけがない。もちろんそこはそれ物語である、それに僕の了見が狭いだけでそういう女性がいるかもしれない、だとしたらその裏づけの描写を、ワンシーンだけでもあれば納得できるのに、と思ってしまう。
ネルフの作戦参謀といえば世界一頭のキレる参謀という事になる、別作品でいうなら銀河英雄伝説ヤン・ウェンリーのような、ああいう模擬戦での戦績やら実戦の功績が名前と対になってあだ名になってるとか、そういうのがあればなー、いや絶対あった方が良いのに、監督に手紙書いて送ろうかな、と思ったけどそんな奴はいっぱいいるだろうから止めておく、きっと何かそうしない理由があるのだ、という事にしておく、しておくというか捨て置く。
映画はめちゃめちゃ面白かった。次も見る。あとサマーウォーズも見る。