2002年に書いた日記より抜粋

わたしゃね、ネットという世界からほっぽり出された、うらぶれた鼠でさぁ。旦那様がた良く見てやって下さいまし、ここに一匹の野鼠がおりますよ! さぁご覧あれ、この薄汚れた四肢を、乳白色に淀んだ眼球を!


姿は見えずとも、才気溢れる貴方方の読解を持ってすれば、文章だけでこの私の体躯がありありと見て取れるはずだ。私には見える、彼方から射す眩いばかりの光が、貴方方の居る場所から、私の目を貫かんとばかりに突き刺さってくるようです。おああぁ、貴方方が持つ意志の力に私はあてられそうだ、申し訳ないがその意志をどこかしまっては下さらんか…。さすれば、おのずと、ほら、私の居る場所が貴方方にも見えてくるはずだ。見よ! 闇だ! ここが私が今居る場所、纏わりつくようなな漆黒の闇の世界だ。
もし貴方方が懸命ならこちら側には足を踏み入れなさるな、この世界は一見ランダムに動いているように見えて、ある一定の法則がある。― 常にすべての物質は混沌へと導かれている ―  私の居る場所から貴方方の場所へ行くには、まるで激流の河川を逆行するかのごとく、その流れが行く手を阻むだろう、つまり境界は一方通行なのだ。


しかしながら、不肖の徒である私めは、この様な人外の地に落ち、その縛めに身をやつそうとも、それでもやはり貴方方の世界に憧れ、激流の河川を逆行する事を良しとする。それ故もがき苦しみ、同じ境遇の者から罵られ、往生際の悪い事この上ない。言わば構わず、私は前進する、あくまでも凛として、一匹の野鼠として、常に光射す方へと歩きつづけるだろう。