スカイ・クロラ押井守監督記者会見より抜粋

僕の人生の四季というものが一周してしまった。


今の若い人は、ある意味で言えば、職業選択の自由は限りなく広いにしても、生き方の選択は限りなく狭いんじゃないかと。
恐らくその事に本能的に気が付いているが故に、自分の未来形に関して限りなく留保したい、という衝動に駆られているんじゃないだろうか。


多分人生とは誰にとっても辛いものであって
(略)
生きるっていうのは基本的には辛い事なんだっていう、それだけは間違いない。
ただ、単に辛いだけではもちろん無い。
これは僕が最近よく思う事なんだけれど、不幸になるという事さえ恐れなければ、あるいは、不幸になるという事を覚悟すれば、さらに積極的に、「不幸になる」と自分自身が不幸になる権利を行使するという意志があるならば。おそらく、人生というものは自分にとって情熱の対象になり得るんじゃないだろうか。


どこかの巨匠のように、明るい未来を語るとか、子供に未来を託すとか、そういう気は僕には依然として毛頭無いんだけれども。人生っていうのは、幸せになる事も不幸になる事もあわせて人生なんだと。不幸になる事は実は人生の醍醐味の一部なんだっていう風に僕は最近考え始めたんですよ。


人生を留保する事は、とりあえず傷付かないで済むかもしれない。でも傷付く事を恐れて生きる事はできない。さらに一歩進んで、傷付く事こそが人生なんだっていう、だから破滅する事が恋愛の究極であるっていうのと同じですよね。決して恋愛する事は人を幸福にしない、相手を心理的に追い詰め、地獄を見させる、っていうのが恋愛なんだ。若い人に恋愛の恐ろしさを見せ付けたい。


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押井守という人物に初めて清々しさを感じた。
なんか風が吹いてる感じ、黄金の風
僕もそんな風を纏いたい。




押井守の娘は乙一の奥さん。