天気や気候の話

今日はやたら寒かったように思う。レジをやってるとお客さんに「今日は寒いね」と話し掛けられる事がよくある。もちろん業務的な会話も交わすが、それ以外だとほぼ100%天気や気候の話だ。
天気や気候の話をするお客さんはそのほとんどが中年から高齢の人、若い人は基本的にそんな話をしない、というか一言も発しないで去っていく人もしばしばだ。
僕らの世代が中年や高齢の世代に至った時、果たして僕らも天気や気候の会話を交わすようになれるんだろうか。きっと僕らにも出来るはずだ、と信じている。
憶測ではあるがこういう事だと思う、自分はあと何回この寒い冬を体験できるだろうか、あるいは暑い夏を、桜舞散る春を、木漏れ日の秋を、自分が死ぬまであと何度迎える事ができるだろうか、と思うとつい見知らぬ店員に今日の天気の話などを振ってしまう、とそういう動機があるんじゃないだろうか。どうだろうか。
願わくば僕もそんな事を感じ取れるような晩年を迎えたいと思っている。
天気や気候の話をされて僕はよくその返答に困る時がある、「今日は寒いね」と言われて「そうですね」じゃ何かそっけないような気がして、つい「いや、昨日の方が寒かったですよ」とか「店の中は暖房がありますからまだマシです」と返す事がある、今分かったけどその返答は粋じゃない。ナンセンスきわまりないね。粋な正解回答はこうだ。
「今日は寒いね」
「ええ、本当に今日は寒いです、もう本当に……」
余韻を感じさせるように言った後、視線は遠くの方にそらすのがポイントだ、そして向き直って微笑み「冬ですからね」と付け加えればもうバッチリだ。今度から実践していこうと思う。